日本一 心のこもった 恋文   秋田県二ツ井町編

h22316-2.jpg題:  天国のあなたへ   柳原タケ 秋田県・80歳

娘を背に日の丸の小旗をふって、あなたを見送ってから、もう半世紀がすぎてしまいました。

たくましいあなたの腕に抱かれたのは、ほんのつかの間でした。

三二歳で英霊となって天国に炒ってしまったあなたは、今どうしていますか。

私も宇宙船に乗ってあなたのおそばに行きたい。あなたは三二歳の青年、私は傘寿を迎える年です。おそばに行った時、おまえはどこの人だなんて言わないでね。

よく来たと言って、あの頃のように寄り添って座らせて下さいね。お逢いしたら娘夫婦のこと、孫のこと、また、すぎし日のあれこれを話し、思いっきり、甘えてみたい。

あなたは優しく、そうかそうかとうなづきながら、慰め、よくがんばったねと、ほめて下さいね。

そして、そちらの「きみまち坂」につれて行ってもらいたい。

春のあでやかな桜花、夏、なまめかしい新緑、秋、ようえんなもみじ、冬、清らかな雪模様など、四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。

私はお別れしてからずっと、あなたを思いつづけ、愛情を支えにして生きて参りました。もう一度あなたの腕に抱かれ、ねむりたいものです。

力いっぱい抱きしめて絶対はなさないで下さいね。