太陽と地球 まど・みちお 著
まだ若かったころのこと 太陽は気がつきました
わが子 地球について ひとつだけ どうしても
知ることのできないことが あるのを・・・
それは 地球の夜です
地球の夜に どうか安らかな眠りがありますように
どうか幸せな夢があふれますように
祈りをこめて 太陽は 地球のそばに 月をつかわしました
地球の夜を 見まもらせるために 美しくやさしい 光をあたえて
今では もう 若いとも言えませんが
太陽は忘れたことがありません
地球の 笑顔が どんなに 安らかであるかを
夜どおし 月に 聞くことを・・・