忘れる 柴田トヨ
歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れてゆくような
気がする
人の名前
幾つもの文字
思い出の数々
それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう
忘れてゆくこのと幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ
ひぐらしの声が
聞こえる
さびしくなったら 柴田トヨ
さびしくなった時
戸の隙間から
入る陽射しを
手にすくって
何度も顔に
あててみるの
そのぬくもりは
母のぬくもり
おっかさん
がんばるからね
呟きながら
私は立ちあがる
忘れる 柴田トヨ
歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れてゆくような
気がする
人の名前
幾つもの文字
思い出の数々
それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう
忘れてゆくこのと幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ
ひぐらしの声が
聞こえる
さびしくなったら 柴田トヨ
さびしくなった時
戸の隙間から
入る陽射しを
手にすくって
何度も顔に
あててみるの
そのぬくもりは
母のぬくもり
おっかさん
がんばるからね
呟きながら
私は立ちあがる